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なぜ無音化改造したAirTagをオークションで販売すると商標法違反で逮捕されてしまうのか

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「アップルのエアタグを不正改造・販売容疑 会社員を逮捕」というニュースがありました。「逮捕容疑は4~7月、エアタグ5個を音が鳴らないように不正に改造し、インターネットオークションを通じて計3万1600円で販売」としていますが、法律的根拠は商標法違反です。

商標の持つ機能として、品質保証機能がありますが、改造によりそれが損なわれていることにより、(アップルが持つ”AirTag”や”エアタグ”等の登録商標の)商標権を侵害しているという理屈です。ちなみに、AirTagを物の紛失防止という本来の使用目的ではなく、ストーカー目的で使う場合には、相手に気付かれにくいように無音化改造することが行われているようです。警察としては悪用される可能性が高い商品の流通を事前に抑えておきたいということなのでしょう(アップルからの被害届があったかどうかは不明です)。

似たようなパターンの前例としては、プロテクトを外すように改造したゲーム機(いわゆる、MOD)やジェイルブレークしたiPhone販売の販売行為により逮捕されたケースがあります。

改造した商品をオリジナルの商標を付したまま販売すると商標権侵害になってしまうということであれば、たとえば、クロックアップしたパソコン、(法定の範囲内で)チューニングした車、ドレスアップした楽器等を売っても、逮捕できてしまう理屈になってしまうのでちょっともやっとしますが、その改造が社会通念上認められないと警察が判断すれば逮捕され得るということで納得するかないと思われます。

では、商標権の侵害を避けるために、タグに表示されているAirTagやAppleなどの文字、アップルマークなどを全部消去し、オークションサイトの説明文等でもこれらの商標を一切使用せずに出品したらどうなるでしょうか?商標の剥奪抹消が商標権侵害に当たるかどうかは微妙な問題で、学説は分かれてきました。最近は、侵害に当たらないとする判例が出てきていますが、やはり社会通念上認められない改造であれば、何かの理屈を付けられて逮捕される可能性はある(起訴まで行くかは別として)と思います。

では、自分で買ったAirTagを自分で使うために無音化改造したらどうなるでしょうか?この場合には、商標権侵害とされる余地はないでしょう(もちろん、それを使ってストーカー等の違法行為をすれば、それを理由に逮捕・起訴されることはあり得ますが別論です)。たとえば、盗難追跡用に自分の車にAirTagを仕込んでおいた場合に、盗難犯がAirTagに気付くのを防ぐために無音化する等、一応は合法的な(少なくとも違法ではない)利用法も考えられるからです。アップルとの利用許諾契約違反になる可能性はありますが、警察に逮捕される理由にはなり得ません。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20221202-00326431

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